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 『山口民報』は、1966年8月28日に創刊され、県民の立場に立つ民主的地方政治新聞として歩んできました。

 毎回の紙面では、原発、基地をはじめとする山口県政の問題点や運動、日本共産党の議会活動、文化芸術をはじめ多彩な県民の動きを取り上げています。

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山口民報2020年12月13日(日曜日)付・第1面

山口民報2020年12月13日(日曜日)付・第1面

安保法制は一見し明白な憲法違反

憲法学者飯島氏が地裁で証言

 自民・公明などが強行した安保法制(戦争法)は憲法違反だと訴える違憲訴訟の第12回口頭弁論が四日、山口地裁で開かれ、憲法学者の飯島滋明さん(名古屋学院大学教授)の証人尋問と原告五名の尋問が行われました。飯島氏は、「安保法制は一見極めて明白な憲法違反だ」と断言。権力に忖度しないで、九条と次世代の平和を守る世界に胸の張れる判決をと公正な判断を求めました。

権力に忖度せず九条守り世界に胸の張れる判決を

 憲法原理と歴史の教訓の両面から 飯島氏は、「安保法制は日本が武力攻撃されていなくても米軍と共に世界中で参戦できるようにしたもので、九条、前文など日本国憲法原理に違反する」と証言。原告でもある明治大学特任教授の纐纈厚さん(元山口大学副学長)は専門の近現代史、軍事史研究の立場から、安倍政権が安保法制制定の理由とした「日本の安全保障環境の変化」について、中国やいわゆる北朝鮮、ロシアのいずれもが日本を武力侵略する根拠も理由もなく、日本がアメリカとともに海外の戦争に参加する安保法制こそがアジアの緊張を高めるものであり、菅政権の「敵基地攻撃論」はその危険をさらに現実化させるものだと厳しく批判しました。

 父母の戦争体験や自らの生き方を重ねて 当日は原告の藤井郁子さん(萩市・68歳)、中村鈴枝さん(山口市・64歳)、岡本篤さん(下関市・60歳)、倉増孝子さん(山口市・67歳)の証人尋問も行われ、両親の過酷な戦争体験と自分の人生、生き方を重ね合わせ、「二度と再び戦争しないと定めた憲法を守りぬき、海外で戦争する国にした安保法制を廃止するまで頑張りたい」と決意も示しました。

 「一人ひとりは微力でも、力を合わせれば戦争への流れをとめる力がある。世界から尊敬される平和な国であってほしい」(藤井さん)、「看護師は命を守るのが使命。真逆なことをさせられた時代を繰り返さないため、多くの看護師の思いをもって原告になった」(中村さん)、「誰も殺さなかったよ!とイラクから帰ってきた幹部自衛官の教え子の苦悩をこれ以上拡大させてはならない」(岡本さん)、「戦争は障害者を見捨てる。そんなことは絶対させない」(倉増さん)と力を込めました。

 最終弁論3月3日 原告団はこれに向け公正判決を求める運動を強めることにしています。

三つの権利侵害つく 飯島証言

 安保法制は日本が攻撃されていないのに、世界中で自衛隊が武力行使できるようにした。平和的生存権、人格権、憲法改正決定権の三つを根本から侵害するものであり、一見して極めて明白に憲法違反だ。

 平和的生存権は、「戦争や軍隊により生命、身体、安全、健康などを奪われたり脅かされない権利」。いま戦争になってなくても、安保法制で外国軍による攻撃対象、テロの対象となる危険性におびえざるを得ない状況がつくられ、明らかにこの権利が侵されている。人格権は「生命・身体・健康・名誉・信用・肖像・氏名など個人の人格に関わる利益について保護を求める権利を総称」するもので、子や孫が安保法制で戦場に送られかねないとの精神的苦痛などによって、すでに人格権も侵害されている。憲法前文、憲法九条は集団的自衛権を認めないが、これを認めるのが安保法制であり、憲法九十六条の手続きを踏まないのは「国民の意思を問う」ことをしていない点でも主権者の憲法改正決定権を侵害している。憲法判断を避けず、次世代の平和と安全を守る胸の張れる判決を強く要望し、期待している。(要旨・文責編集部)。


山口民報2020年12月6日(日曜日)付・第1面

山口民報2020年12月6日(日曜日)付・第1面

次期衆院総選挙

大平さんの議席奪還へ全力

下関で演説会

比例は「日本共産党」と訴えて

笠井衆院議員の熱弁響く

 政治の責任を投げすてる「自助」押しつけから憲法の学問の自由を踏みにじる学術会議への介入まで余りにも強権的な菅政権を辞めさせ、いつあってもおかしくない総選挙での日本共産党と野党統一候補の勝利で希望ある野党連合政権をつくろうと11月21日、下関市で日本共産党演説会が開かれました。

菅政治ノー。野党政権取りに行こう

 ▽中国5県・107の全市町村訪れた大平さん。「議席奪還で全ての声を国会に届ける」 コロナ対策で三密を避けながら下関勤労福祉会館で開かれた演説会には120人が参加。3年前の総選挙で悔し涙を飲んだ前衆議院議員の大平喜信さんは、以来、中国5県・107の全市町村を訪ね、コロナ禍に負けず命と暮らしを守る人々から、原発反対、米軍基地被害なくせ、災害からの復興をと頑張る住民や自治体関係者まで膝つき合わせて懇談してきたとのべ、「すごーい」と会場の深い共感を呼びました。「どこへ行っても最長最悪のアベ政治への怒りがあふれ、それを継承する菅政権にウンザリ。中国地方は本当に日本共産党の躍進を求めていると実感した。比例11議席を女性蔑視の杉田水脈議員など自・公が7つも独占していて国民の願いが実現するはずがない。必ず国会に駆け戻りたい。そのためにも比例は日本共産党と広げに広げてほしい」と訴え、大きな拍手に包まれました。

 ▽「自公政治には先がない。希望ある未来のため、今度の選挙で野党連合政権を取りに行こう」と熱く笠井さん 主任弁士の衆院議員・党常任幹部会委員の笠井亮さんは、「菅政権は発足2カ月余で早くも完全な行き詰まりが見えてきた」と日本学術会議への介入や政治の責任を投げ捨てる「自助」押しつけ(年金も生活保護もなくすベーシックインカム構想や75歳以上の医療費窓口負担の倍化検討)などを鋭く批判。日本共産党が呼びかけるコロナ後の社会への「7つの提案」を紹介しながら、「自助押しつけではなく、ケアに手厚い社会こそ国民の願い。コロナ感染拡大下のGoToキャンペーンの全国一律実施は中止すべきで、医療崩壊や経済破綻喰い止めのために思い切った国の施策ことに財政支援が求められる」と強調しました。そのためにも、国会内外で飛躍的に発展する野党共闘の前進と日本共産党の勝利で、次期衆院選で本気で政権をとりにいこうと訴え、「よーし」と力強い声援を浴びました。

 ▽エール、決意 演説会では市民連合@やまぐちの熊野讓共同代表が「衆院四区でも野党統一候補を」とエールを送り、党後援会の臼井俊紀会長、木佐木大助県議が決意表明しました。


山口民報2020年11月22日(日曜日)付・第1面

山口民報2020年11月22日(日曜日)付・第1面

その後の下関市大を考える

学術会議への介入と〝裏腹〟

公立大学壊す〝3つの私物化〟深刻

 

 公の物を自分の物の様に扱う不正・不透明を「私物化」と呼べば、菅首相による日本学術会議への介入も、下関市立大学で起きている一部メンバーの恣意的な運営も許されない〝私物化”。前者は権力による特定学者の「排除」、後者は「押し込み」で、まさにコインの裏表です。県、市議会や市大ホームページ、独自取材などをもとに、〝市大・3つの私物化〟を追いました。

 

横暴許せば自由に

モノ言えぬ時代が

 

大学〝私物化〟に等しい市長の意向が発端

 この1年8ヵ月近く、下関市立大学(川波洋一学長)で起きている不公正・異常・違法な事態のそもそもの発端は、前田晋太郎下関市長が昨年5月30日、学長ら大学幹部を市長室に呼び出し、某氏を市大に招聘しないかと〝紹介”したこと。市長は、氏はインチャイルドという特別支援教育の「第一人者」で「すごく人間味があって情熱的(略)下関の何か役に立つ」とベタ褒め。氏を招いて、市大に特別支援教育「専攻科」をとの意向を示しました。

 同様「専攻科」は全国に25ありますが、全て教育学部の付属で、市大のように経済学部への設置は皆無で、学問系統を無視し木に竹を接ぐ暴論。9割以上の教員が「手続きが学校教育法違反」だと反対しましたが、山村重彰理事長と学長、砂原雅夫事務局長は市大定款や採用諸規程に違反して某氏(及び門下生2人)を採用。従来、厳格に守られてきた採用手続き―①教員人事評価委員会での採用方針決定②教授会傘下の学科会議での公募要領(案)作成③教授会での同上決定④教育研究審議会で公募要領決定⑤公募⑥学科会議で資格審査委員選出、教授会で承認⑦資格審査(業績書類審査、業績縦覧、公開面接、最終業績縦覧、資格審査報告書作成)⑧教授会での審査報告書の審議、投票―を全て無視した異常な〝採用”でした。

異常な権限集中、評価も懲戒も

 ▽一連の流れ、市も議会で認める 市長意向を発端に強引に採用された某氏とは韓昌完氏。元琉球大学教授、ASHS(一般社団法人アジアヒューマンサービス学会)なる団体の副理事長だと言い、採用に至る一連の流れは9月下関市議会で市も認めました(日本共産党片山房一議員への答弁)。

 ▽人事評価から懲戒までの権限集中は一部メンバーによる大学運営の〝私物化”に繋がる危険 ルール無視の韓氏採用から日をおかず、前田市長・市総務部はまるで後付けで異常を合法化するように、市立大学の定款変更を突如として市議会に提案。その手続きも、大学内で一度も審議しなかったばかりでなく、学部長や学長にも一切知らせないという非民主的なものでした。変更の核心は、これまで市大の民主的運営を支えてきた教員、教授会、教育研究審議会の権限―①重要な規程の制定、改廃(教育研究に関する)事項②教員の人事に関する事項③教員の懲戒に関する事項―を全て取り上げ、理事会(ないし学長指名の諮問会議)に移すというもの。明らかに大学の自治を踏みにじり、一部幹部が恣意的に運営する道を開くもので、全国の国公立大学への悪影響大です。

 ▽韓氏に権限集中 実際、定款変更(昨年9月末)と韓氏の副学長就任(採用11ヵ月目の今年4月)により、従来は考えられなかった特定人物への権限集中が続き、多様な意見が自由闊達に交わされるべき「学問の府」とは異質の緊張・萎縮ムードが教員を苦しめています。

 韓氏は①副学長②市大付属リカレント教育センター長(新設)③大学院担当副学長(同)④大学院教育経済学領域責任者(同)⑤相談支援センター統括責任者(ハラスメント防止委員会を解散して新設)⑥教育人事評価委員会委員長⑦教員懲戒委員会委員長を兼任。とくに、人事評価と懲戒に関する権限が、市大「採用」1年足らずの1人の人物に何故集中するのか、納得いく説明はありません。

 この5月、教員採用選考規程をつくり、雑則(第11条)で学長に事実上の〝全権委任”権を与えたのも異常。公募、面接試験、教授会や教育研究審議会の業績審査なしの「即採用」が可能になりました。

 

予算面でも不公正目立つ

教員辞任の事態にも

 ▽〝全権委任”条項であいつぎ採用 公募も面接試験も教授会や教育研究審議会の業績審査も受けない〝学長全権委任条項”(教員採用選考規程第一一条雑則)による異常な採用が、すでに現実化。韓氏が幹部(副理事長)を勤めるASHSの仲間(理事)三人が採用され、うち二人は韓氏が居た琉球大学卒業の〝韓門下生”。これ以外に採用された事務職員一人も琉球大学以来のグループでした。

 ▽山の田にキャンパスがあるのに、なぜ高い金を払って海峡メッセか 予算編成権の〝私物化”ともいえる事態も起きています。下関市大はJR幡生駅から近く、バスの本数も多い市内山の田に立派なキャンパスがあるのに、韓氏が長を勤めるリカレントセンターなどのために下関駅近くの海峡メッセの会議室を賃借。そのため補正予算566万円計上しましたが、受講生実績は春学期51人で収入411万円。関係教職員の給与数千万円以外に、この赤字分も「経済学部生」や市民の税金などでまかなわなければならず、学生や市民から「こんな不公正な金の使い方でいいのか」との疑問・不満は必至です。

 ▽市総務部、自・公市議らの不当な大学攻撃をハネ返す 「研究費で酒を買っている」「休日出勤手当を詐取」「教員同士でハラスメントもみ消し」「論文盗用」―こんな市大教員を誹謗中傷する怪文書が3月と5月、市長や議員らに届けられました。市総務部は総務部長名で「調査」を強行しましたが、結論は「法令、定款、規程違反はない」。にも拘わらず「市民感情に反する」と付記。これに飛びついた自・公市議が9月市議会で、市大教員が不正を行っているかのような事実無根の攻撃(質問)。逆に自分たちの不見識をさらしました。

 ▽事は市立大学だけの問題でも、教員だけの問題でもない。市民の知的共有財産の大学を守り、学問の自由・自由にモノが言える社会を守る大問題 9月市議会での片山議員の質問で、恣意的運営に嫌気がさして市大教員が複数辞め、経済学教授の補充は十全でないと市も認めました。

事は大学の〝内紛”などではなく、市長意向に端を発した不正常の拡大が核心。市民、学生の運動で是正させる時です。

 

下関市大の異常に驚き

 3日、山口市での憲法集会と教育県民会議で関野秀明下関市立大学教授が市大の現状について発言。前田晋太郎下関市長の意向で特定の教授が採用されて以降の実態を報告し、参加者は学術会議問題とコインの裏表だと驚きました。

 


山口民報2020年11月8日(日曜日)付・第1面

山口民報2020年11月8日(日曜日)付・第1面
核兵器禁止条約 来年1月発効へ

歴史的前進 日本政府は批准急げ

 

 史上初めて核兵器の開発・実験・生産・保有・使用・威嚇を全面的に禁止する核兵器禁止条約の批准国が50ヵ国に達し、来年1月22日に発効することになりました。アメリカの核の傘に固執する日本政府は署名も批准も拒否するばかりか、実効性がないと反対。被爆者をはじめ内外の批判をあびています。

 

県被団協の林三代子会長に聞く

「ここまで来たよ」と亡き友にも伝えました

 

 被爆75年、正直言って遅すぎたけれど、核兵器をなくしてという私たちの願いの実現にとって大きな一歩が始まったと、とても嬉しいです。

 発効が新聞・テレビで大きく伝えられた26日、私は「ゆだ苑」の坂本由香里事務局長さんと一緒に山口市内の小学6年生に「語り部」として被爆体験を話しました。コロナで広島まで行けないので、校内での平和学習ということでした。父と母と一緒に叔父を捜しに被爆直後の広島に行ったこと、おかげで私は80歳のこの年まで元気にやってこられたが多くの友だちが亡くなったことを話すとともに、もちろん、いよいよ核兵器禁止条約が1月に発効するようになったと伝えました。被爆者の75年の苦しみが、ようやく一歩前進したと。

 私が「語り部」で一番に話すのは、原爆の悲惨さや酷さよりも、子どもでも大人でも誰でも出来ること―身の周りからいじめや偏見、差別をなくし、みんなが優しく暮らしていくことの大切さです。この大もとがしっかりしてこそ、二度と戦争も原爆もなくなると思うからです。核兵器禁止条約が、核兵器は最も非人道的な兵器だと言ってるのも、人間同士の慈しみほど大事なことはないよと教えているんではないでしょうか。

 いま山口県でも被爆者の高齢化がすすみ、平均年齢が84.7歳です。条約が来年発効する知らせを聞いたとき、私は心の中で、亡くなっていった多くの友だちに「やっとここまで来たよ」と伝えました。ノーベル賞をもらったアイ・キャンは核兵器のない世界へ現実が動いたとのべていましたが、唯一の戦争被爆国の日本が署名・批准していないことは残念です。外国の核の傘の下に居るので出来ないのだろうということは、口には出さなくてもみんな分かっているんだと思います。私は、そのうちに何か憑きものが落ちたようにポロッと呪縛が解けてくると信じています。

 繰り返しになりますが、75年は長かったけど、大きく大きく一歩前進したというのが実感です。私ももっと長生きして、私に出来ることをしていきたいと改めて考えています。

 

日本共産党 大平喜信 前衆院議員談

政府の〝転換〟必要な時

 3年前の7月、核兵器禁止条約の国連会議に現職国会議員として参加し、採択の瞬間の歓喜に沸いたあの光景を目の当たりにしました。「被爆者がいたからこそこの条約が可能になった」(南アフリカ)、「市民社会は強力な条約を作る上で重要な貢献をした」(ブラジル)――会議で各国政府代表が共通して述べていた被爆者への感謝と敬意、市民社会への賛辞の言葉も思い起こしながら、この歴史的瞬間を今一度かみしめています。

 条約は前文で核兵器の非人道性を鋭く告発し、核兵器が再び使用されない唯一の方法は「完全に廃絶されること」だと明記。核兵器の使用はもとより、その開発や実験も威嚇さえも禁止するとし、核大国に対してその手足を強く縛るものとなっています。アメリカなどが「批准するな」「発効させるな」と必死に各国に圧力をかけるのも、彼らの核戦略が頓挫してしまうことへの恐怖に怯えている姿に他なりません。一部の大国が国際社会を動かす時代は終わった、そんな世界の構造変化をあらためて確信します。

 日本政府の転換こそいよいよ緊急課題。「もう『どこの国の総理か』とは言わせない」―私が出会った被爆者と交わしたこの約束も必ず果たさねばなりません。


山口民報2020年11月1日(日曜日)付・第1面

山口民報2020年11月1日(日曜日)付・第1面

上関原発計画

不当なボーリング認めるな

祝島漁民ら5団体 県に申し入れ

「予定海域はヤズ、タイ漁の好漁場。強行は死活問題だ」「コロナ禍の今、なぜ急ぐのか。高齢者の命こそ守れ」―上関原発を建てさせない祝島の会の漁民らが10月20日、中国電力の原発予定海域のボーリング調査を認めないよう県に申し入れ、知事の対応を質しました。

 

ヤズ、タイ漁に大打撃

コロナの今、命軽視だ

 

 ▽5団体代表13人が 緊急申し入れには、島民の会(清水敏保代表))や原発に反対する上関町民の会(山根善夫共同代表ら)上関の自然を守る会(高島美登里共同代表ら)など5団体の代表13人が参加。日本共産党の木佐木大助、藤本一規県議ら原発に反対する野党議員5人も同席しました。

 ▽中電の海上ボーリング調査申請は不許可に 当日の中心要求は、さる十月七日、中国電力が県に申請した上関原発計画予定地の海上ボーリング調査の申請を不許可にすること。中電は昨年六月にも全く同様の申請をし、県が許可したため同十一月から着手予定でしたが、漁場を荒らされる地元漁民の生活をかけた運動や悪天候のため許可期間内の調査を断念し(昨年十二月、占用許可廃止届け出)、この7日再度申請しました。

 参加者は、2011年3月の東京電力福島第一原発事故以降、「原発はいらない」の国民世論が圧倒的になっていること、とくに18年7月の国のエネルギー基本計画にも上関を含む原発の新増設は盛り込まれておらず、原発建設を前提にしたボーリング調査は全く不要なものだ、と昨年に続く再度の許可などあってはならなと強調しました。

 ▽地元住民の苦難よそに、県は「条例に即して審査する」の一点張り これに対し県は、「一般海域の利用に関する山口県条例に即して適正に審査する」と答えるのみで、生活に直結する漁民・住民の苦境は一顧だにしない冷酷な態度でした。

 島民の会の清水代表らは、「予定海域はヤズ、タイの好漁場で、ボーリング調査が強行されたら漁はできない。原発新増設は国の基本計画にすらないのに、なぜボーリングに固執するのか。県は、県民の暮らしを守るべきだ」と迫りました。

 ▽高齢者の島にコロナが来たらどうするのか また参加者は、「高齢者の島に工事関係者がコロナを持ち込んだら即、命にかかわる。コロナ禍の今、全く意味のないボーリング調査は絶対やるべきではない」と要求。自然を守る会の高島共同代表は、環境省のレッドリストで絶滅危惧種Ⅱ類にされたナメクジウオなど希少生物の保護について県が主体性を持って中電を指導すべきと強調しました。

 県は文書回答を約束しましました。

 

住民訴訟の会も要請

 上関原発用地の埋め立て禁止を求める住民訴状の会(小畑太作事務局長) も十月二十一日、 中国電力が上関で予定している海上ボーリング調査を許可しないよう知事あてに申し入れました。同会は、昨年度も同様の許可をしながら途中で中電が中断したことじたい、県の審査が不適切だったことを示すと指摘するとともに、国のエネルギー基本計画に上関が盛り込まれていないのに埋立用のボーリング調査を認めるのは全く不合理だとのべました。

 県は、条例にもとづき適正に審査すると繰り返しました。

 


山口民報2020年10月25日(日曜日)付・第1面

山口民報2020年10月25日(日曜日)付・第1面
市民連合と野党が共同街宣

菅政権倒し野党連合政府を

4選挙区全て一斉に

菅氏はアベ継承どころか異常な強権

アベ政治の継承どころか、のっけから政治の責任放棄の「自助」の押しつけや「学問の自由」破壊の学術会議への介入などファッショ的な強権体質をムキ出しにする菅新政権。統一候補で本気の共闘を進め、次期衆院選で野党連合政権をめざそうと市民連合と野党が共同街宣を行い、菅政権打倒を訴えました。

学術会議への介入は違憲。コロナ禍の

自助押しつけは政治責任放棄

野党候補4氏訴え

 ▽10~11日、4つの衆院小選挙区で 共同街宣は市民連合@やまぐち主催、戦争させない・九条壊すな!総がかり行動やまぐち共催で実施。10日=衆院山口3、4区、11日=同1、2区で取り組み、のべ6ヵ所に230人が参加しました。一区・大内一也、二区・松田一志、三区・坂本史子、四区・竹村克司氏の各野党衆院予定候補も出席しました。

 ▽野党が束になって自公政権やめさす時だ このうち11日、山口市中央公園での共同街宣で市民連合共同代表の児童文学者・那須正幹氏は、「菅さんは安倍さん以上に怖い。真っ先に手を付けたのが日本学術会議への介入で、6人の任命を拒否した。学問の自由・憲法を侵すもので、国民の権利をないがしろにする強権政治。直ちに辞任すべきだ」と批判。「個々の野党だけでは力不足であり、一つに束ねて自公を追い落とす衆院選挙にしていこう」と県内4つの小選挙区での野党統一候補の実現を訴えました。

 日本共産党の吉田貞好県委員長は、本気の共闘で今度の総選挙で政権を取りに行き、野党連合政府の樹立をめざそうと呼びかけました(大要2面)。

 ▽四野党の「候補一本化を」の決意に声援 立憲民主、共産、社民、新社会の四野党代表が共同街宣に参加。「協議を急ぎ、県内全区で候補を一本化したい」との決意に沿道から声援が飛びました。

 

女性10団体、杉田議員に抗議

 山口県連合婦人会(藤原幸子会長)や新日本婦人の会山口県本部(千葉まり会長)ら女性10団体は13日、「女性はいくらでもうそをつけますから」と暴言をはいた杉田水脈衆院議員に抗議して、発言撤回と謝罪を求める文書を同氏に送付しました。


山口民報2020年10月11日(日曜日)付・第1面

山口民報2020年10月11日(日曜日)付・第1面
共同の行動一層発展させて

県内全区で野党統一候補を

戦争させない・九条壊すな!総がかり行動やまぐちは3日、山口市内で第21回世話人会を開き、政権選択を問う次期衆院選で野党による新しい連合政権をめざすため、県内4つの小選挙区全てで野党統一候補の擁立を実現するよう、市民連合などとも協力して取り組みを一層強めることを確認しました。10~11日の共同街宣も共催。

総がかり実行委が世話人会

学術会議介入や下市大問題でも議論

 ▽アベ以上に手強くなる危険も 当面の情勢と課題を提起した桝本康仁事務局長はまず安倍氏辞任と菅政権誕生にふれて、「継承が看板だったが、早速、日本学術会議の委員任命を拒否するなどアベ政治以上にひどいことをやった。手強な政権になる危険もある」と警鐘を鳴らしました。その上で、安保法制(戦争法)の強行を忘れない十九日行動をはじめ、九条改憲を許さない全国署名の十月末集約をめざした推進、岩国基地へのF35ステルス戦闘機の追加配備反対、「敵基地攻撃論」浮上など平和と憲法を守る共同の行動を一層強めていきたいとのべました。

 ▽県内全ての衆院小選挙区に野党統一候補を実現する 十月解散説は遠のいたものの、いつあってもおかしくない衆院総選挙について桝本氏は、「市民連合@やまぐちを中心に野党との協議が続けられ、中央段階につづいて県レベルの独自政策案も練られている。一~三区では野党統一を掲げる政党の予定候補が活動されており、四区についても努力中と認識している。衆院選は直接、政権選択を問うたたかいであり、市民連合などと協力して統一候補の擁立をめざしていきたい」とのべました。十、十一の両日、市民連合が主催する市民と野党の共同街宣(別項)を共催することも確認しました。

 ▽学術会議介入は内閣がふっ飛んでもおかしくない大問題 意見交換の中で内山新吾弁護士は、菅首相が六人の学術会議会員を任命しなかったのは、憲法二三条の「学問の自由」の乱暴かつ蹂躙であり、一内閣がふっ飛ぶほどの重大問題だと批判。「ある意味で検察庁法改悪よりひどい。ついに手を出して来たか、と言わざるを得ない。あらゆる手段で世論と運動を強め、直ちに撤回させよう」と訴えました。

 ▽安倍氏元秘書の下関市長がきっかけの下関市立大学の私物化事件にも全県の批判を 憲法共同センターの石田高士さんは、「菅首相の学術会議会員の任命拒否事件と同じように、いま、下関市立大学では学問の自由と大学の自治を破壊する異常な事態が続いている。全ての発端は昨年、安倍元首相の秘書だった前田晋太郎下関市長が韓昌完という人物を紹介し、不明朗な形で採用したことにある。韓氏は教員の採用や懲戒の要を占め、私物化ではないかと批判されている」旨発言し、民主化をめざす教員への支援を呼びかけました。

 ▽春・夏延期の平和・憲法行事が一斉開催に コロナ禍で5月の憲法記念日や夏の8・6、8・15に企画されていた憲法、平和行事がこの秋一斉に開催され始め(関連3面)、共同の前進の立場から成功へ協力していくことも話し合われました。

 

下関市大問題を考える

11月3日山口市で

 子どもと教育をまもる山口県民会議が11月3日、山口市の県教育会館5階で下関市立大学問題を考える学習会を開きます。午後2時からの同会議総会の記念企画。下関第一法律事務所の臼井俊紀弁護士と下関市立大学の関野秀明教授が、大学〝私物化”とも呼べる市大の異常事態を詳しく報告し、菅政権による日本学術会議への介入と同根の不当・違法行為を県民世論で是正させていこうと訴えます。

 学習会の開始は午後3時からの予定で、一般市民も参加可。

 

変えよう政治

10、11日市民と野党が

5か所で共同街宣

 市民連合@やまぐち=那須正幹共同代表ら=が10、11日、県内五カ所で市民と野党の共同街宣を行い、来るべき総選挙で〝アベ政治の継承”を掲げる菅自公政権を退陣させ、新しい野党連合政権を実現しようと呼びかけます。総がかり行動やまぐちの共催。▽3区=10日午後2時・フジグラン宇部店前、同3時・スバル宇部店前▽4区=10日午後2時・新下関駅ゆめシティ前、同3時半・川棚ダイレックス前▽1区=11日12時半・山口市中央公園。2区については日程調整中です。


山口民報2020年10月4日(日曜日)付・第1面

山口民報2020年10月4日(日曜日)付・第1面

アベ政治継承の菅政権にノーを

小池書記局長光で演説

光市議選(10月18日告示・25日投票)での共産党二議席確保といつあってもおかしくない解散・総選挙で日本共産党と野党統一候補の大勝利をと九月十九日、小池晃書記局長・参院議員を迎えての演説会が光市民ホールで開かれ三百五十人参加、必勝へ熱気があふれました。

共産党と一緒にコロナから命と暮らし守ろう

比例で大平さん必勝

光市で必ず二議席を

 ▽安倍なきアベ政治もうゴメン 小池氏は安倍氏辞任・菅政権誕生という政局変動について、あきあきしていた安倍内閣のせいで新政権支持率が高く見えるが、中身は「安倍なきアベ政治にすぎず、たった三日間の臨時国会でも首相選で野党が立憲民主党の枝野氏に一致投票するなど連合政権に向けての大前進があった」と変化を強調。戦争法強行から二度の消費税増税、コロナ大失政とアベ政治に良いところは一つもなかったが、最大の狙いとした憲法改悪は国民の世論と運動でついに果たせなかったとのべ、ここに確認を持とうと訴えました。

 ▽菅政権の〝国の在り方〟は国民の願いとは真逆 小池氏は菅首相は「自助、共助、公助」が〝国の在り方”だと言うが、公助こそ政治の役目で、全て自己責任にかぶせるのは憲法二十五条(生存権)破壊で「寅さんならずとも〝それを言っちゃ、おしめえよ”と怒ろうではないか」とユーモアたっぷりに批判し、会場は笑いと拍手に包まれました。「安倍政権の継承」が唯一の政治姿勢としか言えないところに自公政権の行き詰まりが象徴されていると小池氏。「菅首相は、アベ政治の〝置き土産”の憲法・国際法違反の〝敵基地攻撃”へつっ走ろうとし、コロナ対策も極めて不十分。今こそ、軍事費を削ってコロナ対策にまわせと声を上げよう。ウソ、偽り、政治私物化のアベ政治を今こそ根本から一掃する時」と国民のたたかいを呼びかけました。

 ▽ケアに手厚いコロナ後の社会を一緒につくろう 小池氏は、日本共産党が提案するコロナ後のプランを詳しくのべたあと、「カギはケアに手厚い社会をどうつくるかだ。雇用、子育て、営業、文化など国民の苦難解決が立党の精神の日本共産党と一緒に、アベ悪政継承・自助押しつけの菅政権にかわる野党連合の新しい政治をつくろう」と希望ある展望を示しました。

 ▽衆院比例で必ず大平さんを国会へ。光の二議席確保へ絶大な支援を 小池さんは目前の光市議選最大の争点は、①二つの市立病院存続や県一高い下水道料引き下げなど市民の命と暮らしを守ること②アベ政治を継承する菅悪政を光に持ち込ませないことだと浮き彫り。田辺まなぶ、岩根ひろゆきさん当選でこの仕事をすすめようと訴え、いつあってもおかしくない衆院選で〝中国五県の命綱”大平喜信さん必勝へ「日本共産党」と支持を広げてほしいと話しました。

 


山口民報2020年9月20日(日曜日)付・第1面

2020年9月20日付第1面

政局一挙に緊迫。秋にも解散か

市民連合やまぐち 初の「市民懇談会」

総選挙でアベ政治に決着を

 安倍首相の辞任で政局激変。今秋にも解散・総選挙かと緊迫する情勢の下、市民連合@やまぐち(共同代表・那須正幹氏他)が、12日、山口市内で初の市民との懇談会を開き、「安倍氏はやめてもそれを継承する自公政権では何も変わらない。アベ政治を〝大そうじ〟するための総選挙で決着を」と統一候補や政策など話し合いました。

 

全区で野党統一候補を

「コロナ防止、9条守れ」

 ▽全国的にも先進。ほぼ毎月野党と密接に協議。 市民連合@やまぐちは2月の総会以来、県内4つの全選挙区に野党統一候補を実現し、アベ政治を〝足下の県〟から退陣させようとほぼ毎月、全野党と協議を継続。全国的にも先進的と注目されてきましたが、安倍首相辞任・自民党新総裁選で一挙に政局が緊迫化し、10月総選挙説さえ取り沙汰される中、候補決定や共同政策の仕上げ、具体的な宣伝活動などを加速させようと市民懇談会の開催となったものです。

 ▽悪政継承ではなく、安倍政治を終わらせるチャンス 那須共同代表は、定期的な野党との協議で統一候補はほぼ固まりつつあるが、10月の大大総選挙の可能性にもきちんと対応できるよう取り組みを加速させたいと挨拶。内山新吾共同代表も、「1区・大内一也(新・立憲民主党)、2区・松田一志(日本共産党)、3区・坂本文子(新・立憲民主党)の各氏が名乗りを上げ、4区もれいわ新選組・竹村克司氏が活発に動いている。正正式に野党統一候補の決定には至っていないが、一層の努力の時。同時に、コロナ対策を中心に、憲法9条を守り活かすことや、山口県独自の米軍岩国基地強化反対など切実で魅力的な共同政策を1日も早く練り上げ、広く県民にアピールしていきたい」とのべ、「安倍さんは辞めてもアベ政治は終っていない。それを〝大そうじ〟するのが今度の選挙」と力説しました。

 ▽参院選の取り組みを発展させ、市民と野党の本気の共闘の力が発揮できるように 参加者の意見交流では具体的な提案が次つぎ出されました。

 「この前の参院選では統一候補のスケジュールなど今ひとつ見えにくかったが、今回は共同の力がフルに発揮できるように配慮を」「新型コロナで初めて世事に目を向けたという方も多い。こうした普通の市民の心に届く政策を練り上げて欲しい」「コロナで緊急性が改めてはっきりしてきた少人数学級の実現や、アベ政治が放棄していた農業や食の安全を重視し、ふるさとの再建を」など政策的提言があいつぎました。

 

 ▽市民連合の呼びかけで野党共同街宣なども急ぐ 参加者の声に答えて内山氏は、「コロナ禍でひかえてきたが、情勢に見合うテンポで野党共同街宣や屋内外での市民公開討論会など感染拡大防止に配慮しつつ急いで具体化したい」とのべました。参加者は、「アベ政治一掃は、〝足下〟と揶揄された山口から」の思いを新たにしました。


山口民報2020年9月13日(日曜日)付・第1面

20913日付

安倍首相の辞任表明 各界の談話

 安倍筋の78ヵ月とは何だったのか。〝首相の地元〟と言われ続けましたが、最長失政へは厳しい批判が。各界のコメントを紹介します。

 

公正・正義取り戻そう

総がかりやまぐち実行委員会事務局長 桝本康仁さん

 828日、安倍首相が持病の潰瘍性大腸炎の再発を理由に辞意を表明した。「アベ政治を許さない」と」私たちが求め続けてきた願いの一つが、やっと現実のものとなりました。

 201212月からの78か月の長期政権において、「安倍一強」体制を背景にして、集団的自衛権の行使を容認し、他国同士の戦争参加を可能にする「安全保障関連法」を筆頭に、特定秘密保護法やカジノ解禁法、「共謀罪」の趣旨を含む改正組織犯罪処罰法など、数々の悪法を野党や国民の反対を押し切って次々と強行成立させてきました。

 加えて、安倍政権は官僚人事を掌握した上で官邸主導の政策を推し進め、与党議員や官僚たちに忖度させ、立憲主義を破壊して、自分の思うままに国家権力を私物化し、モリカケ事件や桜を見る会の問題などに象徴されるように、公文書の改ざん・隠ぺい、破棄などで事実をねじ曲げ、挙げ句の果てにはメディアにまで忖度を強要して、日本社会の公正と正義をも破壊させてしまいました。

 こうした中において、多くの国民のツイッター・デモにより、検事総長の人事を断念させたことや、コロナ対策での「アベノマスク」や「Go To トラベル」などの失政が、辞任の引き金になったと思われます。

 総がかり行動やまぐち実行委員会は、首相だれになろうと、引き続き、安保法制や共謀罪法の廃止を追求し、取り組みを継続していきます。

 日本社会の公正と正義を私たちの手に取り戻すために、ともにがんばりましょう。

 

陸上イージス何だった?

総がかり行動阿武・萩実行委員会共同代表 藤井郁子さん

突然、安倍総理の辞任表明を聞いた。アベ政治の幕引きを願うばかり、同情はできない。持病の治療は別問題である。「逃げ得」の背景が次々と浮かんで「お主も悪よのう」と毒づく私がそこにいた。

アベノミスクはどうなった?違憲の安保法制を強行採決、森友・家計・桜等の政治の私物化、公文書の改竄、内閣法制局・検察庁法をめぐるしほうへの介入、官僚機構の従属化、稚拙なコロナ政策が際立った。新自由主義の旗の下、命と暮らしや健康は脅かされ、貧困と格差は私たちに重くのしかかった。潤ったのは、グローバル企業と軍需産業ばかり、地域社会は明らかに疲れ弱って、持続可能性は削がれてきた。

萩市民の私には「イージス・アショア騒動」は忘れることはできない。萩市むつみの自衛隊演習場がイージス・アショアの予定地だった。防衛大綱・中期防にも記載されていないのに、トランんんンう大統領との会談が景気で計画されたのである。制服組(防衛族)を差し置き、9条の改憲をもくろむ背広組(政治家)が暴走。その先頭に安倍晋三がいた。

違憲の安保法制から集団的自衛権の行使を導き出し、米国の盾、さらに矛の役割まで担うのがイージスの役割である。ところが、この配備計画は6月に突然撤回された。この2年半、賛否を巡り地域は搔き乱され、分断された。

安倍総理には、イージス・ショア撤回に至る経緯を米国との交渉内容を含め説明する責任と義務がある。辞めるのは、それからでいい。

 

 

アベ政治を大そうじ

市民連合やまぐち共同代表・弁護士 内山新吾さん

 安倍首相が病気を理由に辞任表明をしたのは本当に残念だ。辞めるなら、 病気ではなく、 悪政の責任を取って辞めてもらいたかった。圧倒的な世論の力で辞任に追い込みたかった。そして自ら過ちを認め、すべての事実を説明(白状)し、謝罪し、まちがったことを撤回し、責任をとって辞めてほしかった。残念ながら、それは叶わなかった。

 だから、このままでは、アベ政権は終っても、「アベ政治」は続いてしまう。アベは消えても、国民のキズは消えない。アベ政権のもとで未解決のままの問題を解決しないで消してはならない。アベ辞任後も、「アベ政治を変える」ことが課題になる。そうしないと、私たちの暮らしは良くならないし、平和な世界を作ることもできない。

 市民連合@やまぐちは、いま、次の総選挙に向けて、野党統一政策の案を作成して野党との協議すすめている。その政策は、コロナ禍で噴出してきたこれまでの新自由主義の誤りを正して、ひとりひとりの命と多様性が尊重され、誰もが自分らしく暮らせる社会を実現するものだ。ぜひ、早く統一政策を確定して選挙で勝つ体制をつくりたい。

 

 安倍が辞めただけだけでは、政治のスガたは変わらない。全くスガスガしい気持ちにはなれない。いまこそ、市民と野党の共同の力で、アベ政治を大そうじしよう。


山口民報9月6日(日曜日)付・第1面

山口民報2020年9月6日付・第1面

コロナ禍と私の活動

日本共産党山口県議会議員 藤本一規さん

PCR検査抜本的にふやし

命と暮らし守れ
 県内で新型コロナウィルス感染者が100例を超えたのは820日。わずか1週間後の828日までの患者は151例。山口県は、新型コロナウィルスが急拡大している瞬間にあります。私は、2月県議会、4月臨時議会、6月県議会で感染拡大防止のために、PCR検査体制を拡充すべきと一貫して発言してきました。

 728日、志位委員長は、安倍総理に「新型コロナ対策に関する緊急申し入れ」(以下、志位委員長の緊急申し入れ)を行いました。志位委員長の緊急申し入れの内容に沿って、県内でのPCR検査体制の現状と課題について述べます。

大規模・網羅的に検査を

 志位委員長の緊急申し入れの第一は、「感染震源地(エピセンター)を明確にし、その地域の住民、事業所の在勤者の全体に対して、PCR検査を実施すること。」です。志位委員長の緊急申し入れ後、厚生労働省は、PCR検査の対象を拡大する方針を地方自治体に示しました。

 87日、厚生労働省は「事務連絡」で「現に感染が拡大しした店舗等に限らず、地域の関係者を幅広く検査することことが可能」との見解を示しました。早速、厚生労働省のPCR検査対象拡大の方針が、県内に活きる状況が生まれています。

 村岡知事は、826日に記者会見を行い、山陽小野田市の日の出地域の飲食店でクラスターが発生したと判断したとし、「同地域の酒類を提供する飲食店約70店舗のすべての従業員を対象に、828日にかけて、臨時の検査場所を設置し、短期間で集中的なPCR検査を実施する」ことを明らかにしました。

 県内でのクラスターの発生は初めてです。県が感染が発生した店舗だけでなく、地域の関係者を幅広く検査すること評価します。

 その上で、冒頭引用した志位委員長の緊急申し入れにあるように、PCR検査は、酒類を提供する飲食店の従業員だけでなく、同地域の住民や事業所の在勤者の全体に対して大規模で網羅的に行うべきであることを提起します。

 スタッフ確保の支援急げ

 続いて、県内でのPCR検査体制の現状について報告します。表1は、宇部市内に開設される地域外来・検査センターに関する報道発表資料の一部です。

 表1にあるように、現在感染の疑いのある患者は、帰国者・接触者相談センター(保健所)に相談し、渡航歴、感染者との接触、濃厚接触者、行動歴や本人の症状も含め、保健所長が必要と認めた場合、帰国者・接触者外来(専門医療機関)で検体採取が行われています。

 これに加え、県は、市町等に、委託し、県内8医療機関に1ヵ所以上の「地域・外来検査センター」の設置を進めています。表1にあるように、地域外来検査センターは、症状など(帰国者・接触者外来に準じる)により、かかりつけ医(登録)が必要と判断した場合、検体採取を行います。これまでに、地域外来・検査センターは、下関医療圏に1ヵ所(下関市内・812日開設)、宇部・小野田医療圏に1ヵ所(宇部市内・831日開設予定)、山口・防府医療圏に2ヵ所(防府市内・93日開設予定、山口市内・929日開設予定)の設置が決まりました。すべての市町に1ヵ所の地域外来・検査センターの設置を求めていきます。」先日、宇部市内で開所目前の「地域外来・検査センター」を視察しました。担当者は看護師の確保が困難を極めている」と語りました。地域外来・検査センターで、円滑に業務がスタートできるように県として看護師確保を支援すべきです。

 宇部・小野田医療圏と山口・防府医療圏の地域外来検査センターの検体は、県予防保健協会に設置された検査機器で検査が行われる予定です。先日、日本共産党県コロナ対策本部は、県予防保健協会に設置された検査機器を視察しました。

 PCR検査機器は、県環境保健センター県予防保健協会、県立総合医療センター棟の医療機関等に配置し、県内で1日に310検体が検査できる体制が整備されようとしています。

 集団感染防止へ総力を

 71日、村岡知事など産官学関係者114人が、「積極的感染防止戦略による経済社会活動正常化に向けた緊急提言」を国に提出しました。緊急提言は「第2波に備え、1日当たりのPCRなどの検査件数を9月末までに10万件、11月末までに、20万件できる体制の整備が不可欠」としています。全国で110万件を県に当てはめると1日当たり約1000件となります。県内でこれまで1日当たりの最大PCR検査実施件数は828日の228件です。県内で抜本的にPCR検査を増やすことが求められます。

 

 志位委員長の緊急申し入れに「医療機関、介護施設、福祉施設、保育園・幼稚園、学校など、集団感染によるリスクが高い施設に勤務する職員、出入り業者への定期的なPCR検査を行うこと」があります。東京都世田谷区は、現行の検査件数を倍加し、さらに介護や保育などの従業者「社会的検査」実施します。世田谷区から学び、介護や保育事業者等への定期検査を始める時です。


山口民報8月30日(日曜日)付・第1面

20830日付

被爆75周年の2020年夏

今言いたいこと

被爆者インタビュー

 

●下松市原爆被害者の会事務局長     

 

金清陽子さん(74)

 かねきよようこ=1946年1月、由宇町生まれ。結婚で下松市へ。体内被曝者として下松原爆被害者の会に参加し、現在、事務局長。同会の金近衛会長と「語り部」として活動。下松市桜町。

 「いまほど命が粗末にされている時はないと思いません?せっかく頂いた命。愛しいじゃありませんか。大事に大事にして欲しい。これが私の願いです」 。胎内被爆者として 「語り部」 で子どもたちに話す下松原爆被害者の会事務局の金清陽子さん。今、一番伝えたいひと言です。

平和の努力、あなたたちにもできるよって伝えたい

 ▽1.5キロの己斐で で広島市西区の己斐で被爆しました。と言っても私はまだ生まれておらず母のお腹にいました。胎内被爆者です。生まれたのは翌年一月。母のふるさとの由宇町、今の岩国市です。

母はその日、建物疎開の当番に当たっていましたが、お腹が大きいので手伝いを休み、近所の方と外で雑談してたそうです。軒下にいたおかげで火傷一つなく無事。話相手の人は大火傷で本当に気の毒で、申し訳なかったと母はよく話していました。

 ▽カーテンから火がまわり、家は丸焼け 電灯の明りが外にもれたら敵が空襲するというのでどの家も黒いカーテンをつるしていましたが、二階のそれに火が移り、見る見る家は丸焼け。父は東京へ出張中でした。広島が大変なことになっとると聞いて気は焦っても山陽本線は寸断でなかなか広島に着けない。着いてからは、同僚や、知人の安否を訪ねて市内を歩きまわったり、ガレキの山から家財を掘り出すなどしていました。後に、みんな母から聞いた話ですけど。

 ▽百合子さんのテレビ・ドキュメンタリーにショック しばらく隣り組の離れでやっかいになり、由宇に帰りました。母はその間、己斐の小学校で逃げて来る人の救護に当たったそうです。うちわであおいであげるだけしか出来ませんでした。兵隊さん達が校庭に大きな穴を掘って毎日毎日、亡くなった方を荼毘 びに付しました。長兄は市外の工場へ勤労動員され、次兄も寺に学童疎開中で無事。亡くなったものが誰もいないのは幸いな事でした。

 私は元気で育ち、自分が被爆者だと気にしたことはありませんでした。しかしいつだったか、原爆小頭症の畠中百合子さんのことをテレビか新聞で知り、同ことをテレビか新聞で知り、同じ胎内被爆者ということでショックを受けたのを思い出します。百合子さんはベットに寝た切り、私は元気。恵まれて生まれてきたからには何かしなきゃとその時初めて思いましたね。

 ▽知り合いに誘われて被爆者の会へ 下の子が小学校に入った頃ですから30代後半ですね、私が被爆者の会に寄せてもらったのは。知人が熱心にすすめて下さり、いざ行き始めたら「あんた一番若いんじゃから事務局やりんさい」って、今日まで来ました。下松には縁がって結婚で来ました。会では下松原爆被害者の会の会長の金近衛さんとコンビを組み、小中学校に「語り部」として行っています。私は母親として話し、金近さんは世界の政治から核兵器禁止条約の意義までズバッと話され、会の宝ですよ。

 ▽生きたいと思っても生きられない時代があった。 どんなときにも命を大切にと話し続けたい 私が一番訴えてきたのは、生きたくても生きられない時代があったこと、それが戦争の時代だったこと、今は違うのだからどんなことがあっても命を大切にしてほしいと願っていること、ですね。自分の命を大切にすることが周りの命、そして世界中の命を守ることにつながっている―小さなことから全てが始まる、だからあなたたちにもできるよって。6日、インタビュー)

 

 

2020年8月23日付山口民報(第1面)

2020年8月23日付山口民報(第1面)

被爆75周年の2020年夏

今言いたいこと

被爆者インタビュー

 

●山口県原爆被爆者団体協議会理事

●下松市原爆被害者の会会長     

金近 衛さん(77)

 1942年10月、広島市天満町生まれ。爆心地から1.2キロの生家で被爆。山口大学工学部卒。日立製作所に入社。下松市の笠戸事業所へ。〝企業戦士”で世界各国を飛びまわる。

 被爆75周年の夏。一段と高まる蝉時雨。「しかし、私たちは今、夏の蝉であっちゃならんです」―金近衛さんは静かに口を開きます。この日、TVは核兵器禁止条約に触れない、広島の安倍首相を映していました。

夏しか知らない蝉でなく歴史を語り継ぎたい

 ▽被爆75周年、節目の年だからこそ「語り部」からもっと聞いて 被爆者の平均年齢は83歳。確かに比較的元気で「語り部」活動が出来る人は年々減っています。でも、それ以上に、「語り部」を呼んで話を聞いてくれる小学校や中学校が少なくなってる。私はそれが大変気になり、残念です。今が、被爆や戦争の体験者から直接話が聞ける最後のチャンスなんですから、思い切って平和教育の時間を設けてもらいたいと願ってやみません。

 ▽父がバリカンで散髪してくれてた最中に 私は爆心地から1.2キロの広島・天満町で被爆しました。2歳10カ月でした。父がバリカンで頭を刈ってくれてた時です。家の中だったので直接熱線は浴びませんでしたが、一瞬で家は圧し潰され、真っ暗い中に生き埋めになりました。父は私を抱き抱えて必死でガレキをかき分け、屋根から脱出したそうです。窓が菱形を潰したように歪んでいたこと以外、何も覚えていません。おかげで私は額と胸にガラスが突き刺さったくらい。しかし一歳の妹は頭の骨が五㌢も露出する大怪我。母は外に居ましたが、閃光と反対側の軒下だったので無事でした。

 ▽〝企業戦士”として世界飛びまわったが 小学1年の時、すぐ治りましたが頭の毛が抜け出したこと、40歳を少し過ぎた頃、左腎臓癌の手術をしたことを除くと元気で、日立製作所の現役時代はそれこそ〝企業戦士”としてアメリカ、ソ連、フランス、イギリス、オーストラリア、インド、メキシコ等々、世界中を飛びまわりました。「原爆が戦争終結を早めた」というのがアメリカ人の固定観念だと知っていましたので、何度も出かけた米国滞在中はあえて原爆の話はしませんでした。ところが、59歳で退職してから大転期に襲われた。肝臓、大腸、胸腺等々、次々癌にみまわれ、今まで8回も手術しました。今年も1月に心臓の上の上大静脈に癌が見つかり、人工ステント(金網状のもの)を挿入。つい先日の6月下旬にも2回目のステントを入れ、今に至ります。副作用がひどいので抗癌剤は使わないようにしていますが。元気に飛びまわっていた若い頃を思い出し、いまさらながら被爆による放射線障害の怖さに驚く毎日です。

 ▽被爆者運動に参加し15年 下松市に被爆者の会があることは以前から知っていましたが、母や知人の熱心なすすめで顔を出すようになり約15年です。胎内被爆者の金清陽子さん(下松原爆被爆者の会事務局長、74歳)とペアで「語り部」活動を続けてきました。夏まっ盛りで蝉の声が響きますが、私は、人間が蝉のようになっちゃいかんと常々考えています。蝉は夏生まれ、鳴き、子孫を残し、しかし夏の間に死ぬ。だから夏しか知らない。戦後75年、人々は〝平和”しか知らなかった。戦争や原爆があったことさえ知らない世代がふえています。負の歴史を知らなければ、平和の尊さって何か本当に分かるでしょうか。だから、人間、夏(平和)しか知らない蝉になっちゃいけないと思うのです。「語り部」で子どもたちから「話してくれてありがとう」と感想文をもらう時、あゝちゃんと伝わったのだ、この子たちは〝夏の蝉”ではないと心から嬉しくなります。

 ▽被爆者の思いが一杯詰まった核兵器禁止国際条約に政府は署名を 私が今一番訴えたいことは、やはり、核兵器禁止国際条約を一日も早く発効させ、核兵器を廃絶する道をすすめて欲しいということです。国連が条約を決めて丸3年たちました。50カ国が批准すれば発効で、あと10カ国です。唯一の戦争被爆国日本の政府がいまだに署名してないなんて信じられない。私自身、次から次へ癌が出てきて、あといくら生きられるかわかりません。ヒバクシャの苦しみを受けとめ、核兵器は絶対悪だと廃絶を訴える国際条約だけは何としても実現させなくてはと思います。先日は、広島の〝黒い雨”訴訟も原告・被爆者が勝ちました。希望を持って、体力の続く限り、未来をになう子どもたちに被爆の実相と核兵器のない世界を「語り部」として話し続ける所存です。

(8月6日、ゆだ苑でインタビュー。条約批准国はさらに増えて43カ国となり、あと7カ国で発効。12日、被告国等が黒い雨訴訟を控訴。「被爆者はもう時間がない」と金近さんは批判しました=追加)


2020年8月2日付山口民報(第1面)

2020年8月2日付山口民報(第1面)

変えてはならない憲法9条

変えねばならない日米地位協定9条

今すぐ日本の「検疫主権」明記を

新型コロナウイルスに感染している米軍関係者が、虚偽申請で検疫をすり抜けて岩国基地に帰っていたことについて村岡知事は「許し難い」と気色ばんで見せました(7月15日)。もちろん断じて許せませんが、事は遺憾表明ですむ問題ではありません。根本には、米軍に対して日本が検疫主権を持っていないという日米地位協定の屈辱的規定が横たわっているのです。

米軍コロナ拡大の穴に

山口県は運用頼み

沖縄県はズバリ改定要求

 ▽「お友だち」は日本だけと世界の笑い者に ドイツやイタリアなど米軍基地のある欧州の「地位協定」を調査した沖縄県代表に、イタリアの元首相ランベルト・ディーニさんは言いました。「米国の言うことを聞いている『お友だち』は日本だけだ」(2018年3月、他国地位協定調査中間報告書・沖縄県)。一九九八年、米軍機が低空飛行でロープウェイを切り、多数の犠牲者を出したのをきっかけに、米軍の全活動をイタリア軍司令官の許可のもとにおくという当然の厳格な主権を確立した当事者の話。日本は地位協定が結ばれた1960年以来一度も改定されず、国内法違反の低空飛行が規制されないだけでなく、検疫の主権も侵害されているのです。

 ▽ドイツでは 1993年に大幅改正したドイツにおけるNATO軍地位協定の補足協定第54・A条は、軍隊及び軍属が「ドイツの法令の尊重と適用に抵触すること」がないように厳格に規定。「動植物、土壌、水、空気、気候及び風致に及ぼし得る影響」の全てを規制します。日米地位協定には検疫規定が一切ありません。日米合同委員会の「人、動物及び植物の検疫に関する合意」(1966年12月)で対応しており、①在日米軍基地から日本へ入国する時は米軍が行う検疫を受ける②それ以外から入国する際は、搭乗の米軍医官が感染症の恐れがないとの証明書さえ出せば、「検疫済みの証明書」が発行されて日本へ入れるのです。岩国基地のコロナ感染者は羽田から虚偽申請で岩国錦帯橋空港に移ってバレたわけですが、そんな面倒なことをせず、「米軍人は直接(本国や展開中の他国から)在日米軍基地へ入れ」と推奨しているとも報道されています(沖縄タイムス7月17日)。

 ▽直ちに地位協定九条に検疫主権明記を 山口県は虚偽申告は非難しましたが、現協定・合意の運用で厳正を期すと及び腰。しかし沖縄県は「日米地位協定の見直しに関する要請」(2017年9月)で、第九条に「人、動物及び植物に対する検疫並びに人の保健衛生に関して、国内法を適用する旨を明記すること」と具体的に要求しています。憲法九条は変えてはなりませんが、地位協定九条は今直ぐ変えるべき。全国知事会も「日米地位協定を抜本的に見直し、航空法や環境法令などの国内法を原則として米軍にも適用させること」(18年7月)と強調しているのですから。

 

米軍に厳格な対応を

コロナで共産党が県に緊急要請

 

 日本共産党山口県委員会と県議団は7月20日、米軍岩国基地の新型コロナ対策を強化するよう村岡知事あてに申し入れました。岩国基地では7月13日、コロナ感染者が虚偽申請で検疫をすり抜けて羽田空港から岩国錦帯橋空港に帰ってきており、感染防止対策上の“大穴”として問題化。また沖縄をはじめ全国の米軍基地で感染が拡大しており、申し入れでは、日本の検疫主権のない日米地位協定を改定し、米軍・軍属にも入国の際の検疫に国内法を適用すべきだと強く要請しました。

 


2020年7月19日付山口民報(第1面)

2020年7月19日付山口民報(1面)
過疎地の命綱ドクターヘリ安心して運航

イージス・アショア撤回で阿武、萩一安心

 大きな総合病院のない、〝過疎地の命綱”のドクターヘリ。自衛隊むつみ演習場にイージス・アショアが配備されると超強力電磁波で運航に支障をきたすと心配されていましたが、計画撤回となり、「これで安全に飛べる」と喜ばれています。

京丹後の米軍レーダー基地では停波せず遅延

 ▽演習場近くにヘリポートが三カ所も むつみ演習場の周辺には、3つのドクターヘリ用のヘリポートがあります。演習場から約850㍍の阿武町西台ラジコン飛行場(2800平方㍍)、約1900㍍の同町福賀小学校(686四平方㍍)、約4300㍍の萩市むつみ中学校(11,520平方㍍)。演習場内の小さなヘリポート(256平方㍍)も緊急時は一般使用可でした。

 ▽超強力レーダーで運航に支障 ところが、演習場にイージス・アショアがつくられると、レーダーのメインビームのため半径約3,000㍍、高度3,000㍍の範囲は航行制限となり、西台も福賀小もすっぽりこの区域に含まれて、事実上、使えなくなります。むつみ中は区域外のように見えますが、日本科学者会議の増山博行山口大学名誉教授によると、「瞬時値」を用いた試算では防衛省見解の七倍の保安距離約17,300㍍が必要となり、むつみ中も制限必至です。

 ▽停波すると言うが、実際は軍事優先で遅延 防衛省は地元説明会で、「ドクヘリが飛ぶ時はイージス・アショアの電波を止めるから大丈夫」と繰り返しました。この説明が信用できないことは、京都府京丹後市の米軍Xバンド・レーダーが、地元自治体と停波協定しておきながら即応せず、ドクヘリの救急搬送が17分も遅延して人命にかかわる重大事件が起きたことでも明らか。現実には全てが軍事優先―これが軍事基地です。

 実際、西台ラジコン飛行場は2015年に1回、17年に2回、ドクターヘリの発着に使われ、昨年はむつみ中グランドが使用されています。イージス・アショアが強行されれば、現実に過疎地の住民の命と健康に重大な危機がもたらされるところでした。

 演習場近くの3つのヘリポートにとどまらず、上の表のように萩、長門消防本部管内からのドクヘリ救急搬送は全県の三割を占めており、宇部の山大病院などに約30分で急送できるドクヘリはますます重要度を高めています(右図、山口県消防防災ヘリ「きらら」運航記録から)。

 ▽ラジコン飛行や星空展望台も一安心 西台ラジコン飛行場や、町おこしに町が五百万円でつくった星空展望台も、今まで通り安心して楽しめます。


ドクターヘリとしても出動の県消防防災ヘリ「きらら」(HPから)。もう1機のドクヘリ(専用機)は、宇部市の山大病院に常駐




2020年7月12日付山口民報(第1面)

2020年7月12日付山口民報(第1面)

安保法制は違憲だ

戦争への道は絶対許さない

安倍政権は忘却待つが

私たちは決して諦めない

 安倍自公政権が強行した安保法制=戦争法は国民の平和的生存権や人格権、憲法改正・決定権を侵害すると国家賠償を求める安保法制違憲訴訟の第10回口頭弁論が一日、山口地裁(山口格之裁判長)で開かれ、同訴訟全国ネットワーク代表の寺井一弘弁護士が、「決して諦めず、平和憲法を守りぬきたい」と意見陳述し、感銘を与えました。

 

安保法制違憲訴訟代表の寺井氏陳述

残留孤児寸前の生い立ちに法廷釘付けに

 

 ▼母が悪かったと号泣し 3歳の時、満州で終戦を迎えた。引揚げは極めて過酷。せめて子どもだけは生かしたいと父は私を中国人に預けた。母は泣いて抵抗したが、引揚船の波止場へ。その時、中国人の手を振り解き、懸命に父母の後を追う私を見つけた母は、割れんばかりの声で駆け戻って私を抱きしめ、「お母さんが悪かった。たとえ殺されようともお前を離すことは絶対しない」と泣き叫んだ。残留孤児寸前で故郷へ引揚げ。こうして私の人生が始まった―なぜ余生の全てをかけ安保法制に反対するのか、生い立ちを交えて寺井さんがこう陳述した時、法廷は静まり返り、裁判長も被告・国側さえもその一言一言に釘付けになりました。傍聴席にはそっと目頭を押さえる女性の姿も…。

 ▼過半数の県で粘り強く 寺井さんは、「折角生き残ったからには二度と戦争させないために働け」という母の言葉を背に、安保法制強行後半年の2016年4月、違憲訴訟に踏み切ったと陳述。現在、山口を含む全国25都道府県・7704人の原告、1,685人の弁護団がたたかい、前半では敗訴もあるが、最も大切な原告や証人の尋問をやらせないからだと指摘しました。

 ▼元内閣法制局長官も「一見明白に憲法違反」と証言 今後に希望があると力説した寺井さんは、近々判決の出る前橋地裁では元内閣法制局長官の宮崎礼壹さんが、「集団的自衛権の行使は憲法が容認する自衛の措置を超えるため憲法違反であり、安保法制は一見明白に憲法に違反する」と断じたと紹介。山口地裁が原告申請の証人採用と原告尋問を決定し、安保法制強行で損なわれた憲法秩序を司法権が本来任務を発揮して回復して欲しいと訴えました。

 ▼「戦争はオエン」 当日は小学5年で終戦を迎えた平松洋之介さんも、「今も、戦争はオエン(「いけない」の岡山弁)との父の言葉を思い出す」と安保法制への不安を意見陳述(大要二面)しました。

 次回は10月5日午後2時半。

 

次つぎ証人尋問、希望大(学習会でも寺井氏力説)

 安保法制違憲訴訟原告、支援する会は6月30日、同訴訟全国ネットワーク代表の寺井一弘弁護士を迎えて山口市内で学習会を開きました。

 寺井さんは、中国で残留孤児になる寸前、故郷長崎に引揚げて来た数奇な体験を振り返りつつ、「二度と戦争してはいけないというのが亡き母の願いで、私の原点だ。安保法制は戦争法と呼ばれるように、集団的自衛権行使を禁じた憲法に真っ向うから違反するもの。安倍政権は国民はすぐに忘れると改憲へつっ走るが、私たちは絶対に忘れず諦めず、何としても違憲判決をかちとろう」と訴えました。一日の公判報告集会も同じ思いに包まれました。

 


2020年7月5日付山口民報(第1面)

破綻したイージス・アショア

徹頭徹尾「ウソ」で押付け

リーフもとに山口で学習会

科学者の検証で改めて鮮明に

配備を断念させた運動に確信を

 住民の反対で遂に配備断念をかちとったイージス・アショア。国はブースター落下の危険を指摘しますが、問題はそれにとどまりません。「イージス・アショア配備を考える山口の科学者」のリーフで検証すると。

「敵基地先制攻撃」検討許さず、

平和なふるさと守ろう

 

ブースター、全て机上の空論

 

 「裏山にイージス・アショアがやって来る⁉レーダー・ミサイル基地設置の影響と問題点」と題した「山口の科学者」発行のリーフは、配備阻止の資料にとつくられたものですが、国が断念した今、改めて安倍政権のミサイル基地前のめりの異常さを科学的に再検証する恰好のテキストとなっています。日本科学者会議山口支部などが六月二十八日、山口市内で開いたミニ講座YU学び舎では、作成に携わった山口大学名誉教授の増山博行、君波和雄、外山英昭さんが、ブースター落下や電磁波の影響、水問題などについてリーフをもとに詳しく検証しました。

 ブースター落下についてリーフは、自衛隊むつみ演習場内に落ちるとした防衛省の地元説明会図(二〇一九年五月)は、全く根拠のない「希望的観測」にすぎず、「高度二~三㌔まで上昇した後、二段目ロケット切り離しの反動や風・空気抵抗を受けながらフラフラと落下するブースターをどうやったら半径五百㍍足らずの区域に落とせるのか」と批判。しかも防衛省はブースター落下は最初は全く検討もしておらず、住民の批判で根拠のない想定図を提出。「米国と連携・検討する」と逃げようとしました(2面の井上質問に詳しい経過)。

 

電磁波の被害は防衛省の説明の七倍

 住民から多くの不安が出された電磁波の問題についてリーフは、防衛省は「時間平均強度」をもとにしてメインビームやサイドローブの保安距離をはじき、ペースメーカーは一一六㍍、補聴器なら四六九㍍離れていればサイドローブの影響を受けることはないとしていると紹介。増山さんは、電子機器は一瞬でも強い電波をあびるとダメージが大きく、「瞬時値」(文字通りの一瞬ではなく、五千分の一程度と電子機器にとっては十分長い時間)を考慮しなくてはならないと強調。そうすると、保安距離はペースメーカーで八〇〇㍍、補聴器だと三三〇〇㍍まで伸び、被害範囲は防衛省の説明の約七倍に拡大するとリーフは解明しました。

 イージス・アショア配備予定地だったむつみ演習場のそばには、ドクターヘリの発着場やラジコン飛行場があり、強行されていれば過疎地の命綱のドクヘリも自由に飛べなくなるところでした。

 また増山さんは、リーフをもとに、防衛省は電波防護壁をつくるので大丈夫とか、メインビームを農地や集落に向けることはないと説明していたが、イージス・アショアが発する電波はとてつもなく強力なものであり、メインビームの裾野が防護壁の端や西台の山肌、樹木、農地の柵などをかすめた場合、反射や回折で大きな障害をもたらす可能性があったと話しました。

 防衛省はこうした住民の不安には何一つ答えず、「国(総務省)の電波防護指針にもとづきしっかり対応したい」との形式的で無責任な答弁に終始しました。

 

地下水の流れをねじ曲げ、影響否定

 住民の生命と農業に関わる水問題でも防衛省の説明は非科学的というよりデタラメ。君波さんは、演習場に降った雨がどのように地下水となって流れ、湧出するのかという一番大事な点について防衛省は、地盤構造からも住民の長年の生活体験からも確実な「周辺へ流れて湧出する」との事実をねじまげ、宇生賀盆地などへの影響はないとしていたと指摘。「共有の財産である水資源をミサイル基地から守りぬいたことで、今後も宇生賀をはじめ周辺で豊かな農業ができる」とミニ講座に参加した地元の人たちも胸をなでおろしていました。

 

米本土防衛のタテだった

 外山さんは、日本のミサイル防衛計画はそもそも米本土防衛構想に組み込まれており、イージス・アショアもその一環だったと指摘。「安倍政権はイージス・アショアにかわって憲法の専守防衛を踏み越える敵基地先制攻撃戦略の具体化をねらっている」と警鐘。ミニ講座には阿武町や萩市で反対運動を続けてきた人々も多数参加し、この力で平和なふるさとづくりを進めたいと話しました。

 


2020年6月28日付山口民報(第1面)


2020年6月28日付・山口民報第1面より
イージスアショア

住民の反対で国が断念

米言いなりの安倍兵器爆買い破綻

首相の押し付け責任重大

ブースターも電波も

最初から危険は明白

成果を町づくりの前進へ

 

「迎撃ミサイルのブースターを確実に演習場に落とせないことが分かった」と15日、イージス・アショアのむつみ配備「停止」を発表した河野防衛大臣。事実上の断念に追い込んだのは、町ぐるみ反対の阿武町民など地元のたたかいや立場の違いをこえた広範な共同闘争の成果です。

 

 ▼「北の脅威」を口実にした安倍首相の米国兵器の爆買いが事の発端 ブースター問題はいわば計画断念の〝落とし所”にすぎず、事の本質は2017年のトランプ大統領と安倍首相の会談で極秘に取り決めた「米国製兵器の爆買い」路線が破綻したところにあります。同会談を機に、政府の公式の中期防衛計画にもなかったイージス・アショア購入・配備が急に動き出し(同12月閣議決定)、「北のミサイル防衛の切り札」だと遮二無二強行してきたのですが、当の防衛省からさえも「無理」と破産宣告された訳です。

 ▼ブースターだけでなく、電磁波も水も全て大問題。命とふるさと守れの住民運動が矛盾をあばき、自己破綻させた 配備予定地は県下最大の農業基地で、住民の生業の拠点。地元住民は当初から防衛省の全説明会で、ブースターだけでなく電磁波の危険、地下水枯渇・汚染など生活に直結する諸問題を問い質し続けましたが、国は最後まで科学的根拠をもった答えを示せませんでした。阿武町長の反対表明、有権者過半数を結集する町民の会の活動、立場の違いを超えた民主団体・労組の広範な共闘が国の矛盾を浮き彫りにし、〝自己破綻”させました。

 ▼町づくりへ新スタート ふるさとを軍事基地化から守った地元は、町づくり加速化です。

イージス・アショア配備に

反対する阿武町民の会会長

吉岡勝さん(67)

「やった!」と先ず嬉しかった。これ(停止)で当初の目標は達成できた、これは事実上の撤回だからと。私たちは一昨年7月、地元自治会と農事組合法人で配備計画撤回を町長と議会に申し入れ、9月議会では請願採択、町長の反対表明となった。昨年2月には「イージス・アショア配備に反対する阿武町民の会」を結成し、今日までに有権者の過半数以上(約54%)の1,626人が町民の会に入っている。ブースター問題もあるが、町ぐるみの運動の結果だと思う。今日の町長の答弁のように、これが今後の町づくりにつながって欲しい。そのことを心から望んでいる(17日、阿武町議会傍聴後・談)。

 

四ッ葉サークル有志で初めて

声を上げた阿武町宇生賀の

原スミ子さん(77)

 跳び上がるほど嬉しい。これまでは毎日不安で寝つかれなかったが、ゆうべは興奮して寝られなかった。私たちは今まで国のすることにモノ申すなどという事はなかった。けれどこればかりはとの思いでイージス・アショアは要らないと勇気を出して声を上げた(一昨年7月5日、「うもれ木の郷」女性部四ッ葉サークル有志が町へ初の申し入れを行った)。ズルズルこのまま強行されるのではと心配だったが、多くの人たちの支援のおかげで止められた。心から感謝したい(以上16日・電話で)。

 いま、改めて花田町長さんから住民運動のおかげで「停止」させたとの答弁を聞き、誇れる態度だと思った。町づくりへ頑張りたい(17日、議会後・談)。

即刻「白紙撤回」せよ

来県の防衛大臣に県庁前で抗議

 萩市の陸上自衛隊むつみ演習場に配備を計画していたイージス・アショアについて「停止」を公表した河野防衛大臣が十九日、県庁に経過説明と謝罪に訪れましたが、萩市や阿武町の住民ら四十人近くが県庁前で緊急集会を開き、「あいまいな停止ではなく、きっぱりと即刻『白紙撤回』にすべきだ」と横断幕を掲げて訴えました。

 


2020年6月14日付山口民報1面


準備中のリーフを手に話す横山博之さん

裏山にミサイル基地はいりません

科学者の会 陸上イージス反対リーフ

科学者の会の増山博行さんに聞く

住民の反対で秋田県新屋(自衛隊演習場)への配備計画が事実上の撤回に追い込まれたイージス・アショア。国は終始「秋田・山口でワンセット」としてきただけに、「山口(萩)も撤回を」の声が広がります。こうした中、科学者の手によるリーフレットが準備中。日本科学者会議山口支部の増山博行代表幹事に聞きました。

電波、落下物、水問題すべて

未解決「やっぱり要らない」

 

どんな思いで

今なぜ、どんな思いでリーフ作成ですか。

 国・防衛省はもちろんですが、萩市の有識者会議も陸上自衛隊むつみ演習場が適地だと言わんばかりです。本当にそうか。そもそもから考え直して欲しいとの思いからです。秋田は人口密集地。しかしむつみも阿武も人家、農地に隣接。過疎地での住民の命は顧みないでもいいのでしょうか。

「瞬時値」で対応すべき

 リーフの主なポイントはどういったところでしょうか。

 「裏山にイージス・アショアがやってくる!?レーダー・ミサイル基地設置の影響と問題点」と題をつけました。ポイントは電波、迎撃ミサイルの落下物、そして水問題の三つです。

 第一のイージス・アショアの電波については、住民説明会でも一番の不安なのに、防衛省はこれまで科学的で十分に納得ゆく説明をしていません。萩市の有識者会議でも意見が出されました。リーフでは、電子機器への影響を考えると防衛省の言うより少なくとも7倍の保安距離が必要なことを、科学的根拠をもって示しました(下表)。防衛省は「時間平均強度」を用いて、例えばサイドローブの場合、補聴器で469㍍、メインビームでドクターヘリ2475㍍離れていれば大丈夫としています。しかし、電子機器は一瞬でも強い電波をあびるとダメージがありますから、「瞬時値」(文字通りの一瞬ではなく五千分の一秒程度と電子機器にとっては十分長い時間継続)を考慮すべきです。そうすれば、先の例では3300㍍、17,300㍍と各々七倍の距離が必要です。

 人体への影響は、法律でメインビーム8㌔、サイドローブ230㍍としていますが、防衛省は演習場の敷地までは250㍍あるのでサイドローブは大丈夫、メインビームは地表には照射しないとの建て前からその影響を具体的に言いません。しかし、防災ヘリに救助される人が機外で浴びる不安などは解消されないと思います。

 電波は仮りに障害物を設置しても、反射や回折でその裏側にも影響を及ぼします。イージス・アショアはとてつもなく強力な電波を出すので、電波防護壁の端、西台の山肌や樹木、農地の柵などをメインビームの裾野がかすめるだけでも大きな電波障害を出す可能性があるのです。

国の説明非科学的ぼう大な無駄遣い

 第二の迎撃ミサイルの落下物については、防衛省は住民説明会資料に演習場内におさまる図をつけていますが、全くの希望的観測。もともと制御できない話なので、秋田では落下点などに触れていませんでした。

 第三は文字通り住民の命に関わる共有財産としての水資源。防衛省は演習場の台上から地下水が流れる方向を実際とは逆向きにし、宇生賀盆地への影響はないとしていますが、事実に反します。イージス・アショアがつくられて除草剤などで汚染されれば、むつみ演習場の台地からの水に育まれてきた宇生賀盆地など農業地帯と住民生活は深刻な影響が避けられません。

 リーフはこのほか、レーダーを設置する予定地の北には西台の頂や鉄塔があり、北朝鮮からミサイルが発射されたと仮定しても早期・確実に捕捉・迎撃するのはほぼ不可能で、最近試射された超低空飛行の場合は何の役にも立たないことも指摘。ハワイやグアムに向かうミサイルを捕らえ、アメリカを守るためのぼう大なムダ遣いではないか、とも問いかけました。

ふるさと守る一助に

 リーフの活用や今後の取り組みはいかがですか。

 防衛省は、国民の安全を守るためにはイージス・アショアが必要だと言います。しかし、以上触れたように住民の平穏な生活を脅かしておいて、どうして国民を守ると言えるでしょうか。萩、阿武の地元だけでなく、広く県民のみなさんにもリーフを届け、一緒に平和なふるさとを次代に引き継いでいきたいと思います。

 

 ▽リーフレットは、イージス・アショア配備を考える山口の科学者(増山さんのほか、外山英昭、君波和雄氏ら)と市民が共同して学習・検討して作成。A4判8頁の分量で、学習会のテキストに最適。今月28日、山口市での「YU学び舎」講座の報告資料としてお目見栄する予定です。発行および連絡先=山口大学教職員組合気付の日本科学者会議山口支部。

 

陸上イージス考える=「YU学び舎」28日山口で

 日本科学者会議山口支部などが主催する「ミニ講座・YU学び舎」が28日午後2時から山口市湯田温泉のサンフレッシュ山口で開かれます。イージス・アショア(陸上イージス)について、外山英昭、君波和雄、増山博行氏が報告します。


2020年6月7日付

4面「パンデミック考」

内務省衛生局は、流感予防の啓発のため5種類のポスターをつくった。カット写真はその一枚。当時の3点注意に加え「予防注射を」もある(『流行性感冒』から)

パンデミック考④

百年前の「スペイン・インフルエンザ」と山口県

新型コロナウイルスが世界を襲っているが、今から100年前にもパンデミック(感染症の世界的流行)が起きた。県内で7,000人以上が死亡したといわれる。社会状況も医療事情も大きく違うが、何程かの歴史的教訓はないのか。新聞報道を中心に当時をふり返って検証してみたい。

百年前から何を学ぶか

再来必至、叡智結集しいかに犠牲抑えるか

新兵次々斃れ、大晦日に補充も

 百年前のインフルエンザ・パンデミックの特徴として若者に犠牲が多かった一つの要因は軍隊と戦争だった。概括的には既にふれたが、いくつか具体例を見よう。

 1918年10月の山中休校報道の3日後の防長新聞一面。「西比利亜四個所の野戦病院収容等患者を数ふれば千数百名余の多きに上り然も其死亡率甚多しといふ」とある(注1)。「欧州塹壕風邪」の輸入か否か、いずれにしても「我出征軍隊を悩す強敵たるに至る」と。同紙の「各地の流感」報道は初発以来すべて3面掲載だったことを考えれば、この1面扱いは、「流感」の猛威が前線の志気を削ぎ、子をシベリア出兵戦争に取られる銃後の親の厭戦気運を加速する両面でいかに懸案だったかを物語る。当時、毎年十二月一日が新兵の入営日だった。18年のその日、山口歩兵第42連隊に入営すべき者980名中、欠席19名、検査による入隊拒否29名、計48名にのぼり、その「大部分は流行性感冒なりといふ」状況だった(注2)。翌19年12月には、「流感で新兵斃る」と伝えられた(注3)。歩兵第71連隊に入営した玖珂郡出身の村中治作以下5名が「流感」で死亡し、大晦日付で7人の若者が補充入営させられた。山口42連隊の留守部隊でも20年1月上旬2名の患者が発生。マスク着用、ワクチン注射、外出規制したが下旬には90名余に拡大し1人死亡した(注4)。

 子どもの犠牲は体力のなさ以上に、休校・再開の場当たり的対応や休暇中の過ごし方の指導の不行届など感染拡大の温床が絶てなかったものと見られる。傷ましい限りだった(表1に軍の概況)。

職員総なめ役所はまるで〝空家〟

 行政の機能麻痺について言えば、早々に知事が罹患したにとどまらず、現場はまさに混乱・麻痺。「庁内益々流行の勢にて林業係官は(略)殆ど全員病欠の有様にて全く無事なるは(略)三名のみにて、地方課は全員無事なるも其他各課共数名を出さざるはなし」「仙崎の水産試験場試験船日進、仙鶴両船」も患者多発で帰航とある(注5)。遡って山中休校から半月後の一八年一一月、山口町役場は欠勤者が数日で倍化し、「役場内は全く空巣(空家―引用者)の如くにして(助役が奔走するも)事務の渋滞夥し」と嘆く(注6)。他町村もなべて同様。防府町は吏員罹患で「藤村町長が書記の代用を勤め」(注7)、玖珂郡深須村では「助役、収入役とも家族全員罹患、療養中」(注8)と続く。住民との接触の多い郵便局員の感染拡大と業務ストップの記事も多いが、省略する。

(以下、記事は続きますが、全文は、定期購読でお願いします。編集長)


2020年6月7日付・1面

県に要請する藤本一規県議(右)と横沼玲子民青県委員長(中)。

山大への要請

コロナ禍にあえぐ学生

学業続けられるよう支援を

民青同盟が県と山大へ要請

「このままでは大学が続けられなくなるかも」―コロナ禍による親の収入減やバイト減でこんな学生の悲鳴が広がる中、日本民主青年同盟山口県委員会(横沼玲子委員長)が5月26日、県と山口大学に学生への支援強化を要請しました。

学費の減免や給付型奨学金の抜本的拡充を

 ▽独自のアンケもとに大学生の生の声を届ける この日の要請は民青県委員会が独自に行ったコロナ・ネットアンケートに寄せられた学生の切実な声を届け、行政や大学の積極的な対応を求めたもの。アンケには山大をはじめ下関市立大、山口東京理科大など6大学・34人が回答。「親の収入減や自分のバイト先休業で生活が厳しくなった」「オンライン授業だけで本当に単位がとれるのか不安」「9月入学への変更は精神的にも身体的にも大変」などと訴えていました(別項)。

 ▽県独自の支援制度を 要請には横沼委員長のほか日本共産党の藤本一規県議が同席。村岡知事宛に①学費の減免や給付型奨学金の拡充を国に求めるとともに、県独自の支援制度を②学生支援緊急給付金は学生の一割程度しか対象になっていないので、要件緩和を国に求めてほしい③オンライン授業に対応して、タブレットやパソコン、Wⅰ―Fⅰなどの貸与・購入の支援制度をと要求しました。また、県独自の家賃補助、就職活動への支援、SNSなどを通じた県独自の情報発信も要望しました。

 ▽大学問題は基本的に国が対応すべきもの―と冷たい県 出上裕美学事文書課副課長らは、アンケ結果は貴重なものと受け取りましたが、大学問題は国の所管で、二次補正予算等で対応されるべきものと考えると形式的な回答を出ず、学生への経済的支援など独自制度の考えはないとのべました。

 山大にもアンケ結果を届け、大学独自の支援策の現状などを聞きました。

 

民青のアンケートに寄せられた大学生の声から

●私が大学1年、弟が高校。授業料等学校経費は母が賄っていたがコロナで仕事がなくなった。国からの給付金10万円を当座それに回す。私は奨学 金を貰っているので大学独自の給付金支給対象から外された。4月はまだ奨学金も入らず、食費を切りつめ、一人暮らしで精神的にも辛い=1年

●生活費はなんとかあるが、バイトがなく、貯金が減っていくので今後が不安=2年

●学費は下げるべきと思う。就活が普通にできないのが不安=3年

●オンライン授業のうちには質が不十分と感じるものもある。中途半端な科目もあり、理解が難しい。そんな授業に課題を出すのみで、授業料の減免が一切ない=1年

●実験ができないので後になって影響が出ないか心 配だ=2年

●遠隔授業になり格段に質が落ちているのにもかか わらず学費がかわらないのはおかしいと思う=3 年

●サークルに入る新入生が激減した=2年

●単位がきちんととれるのか不安だ=1年

●9月入学は精神的にも身体的にも負担が大きいか らやめてほしい=1年

●9月入学制についてはもっと学生の声を拾って、デメリットも分かりやすく説明してほしい=1年

●経済的な不安を抱えている学生は多い。その人た ちの声を国は全部聞いてほしい=3年

●給付金は「世帯主」というのを見直すべき。DVで別居中でも夫の所にしか届かないのはおかしい =2年

<文章は編集部で省略、整理>